よくある質問:学業終了後
就職
EducationUSA、フルブライト・ジャパンでは、2007年7-8月に「これから留学を考える人のための留学と就職セミナー」を二回シリーズで開催しました。アメリカ留学を体験した日本人の就職状況の最新事情を、ゲストスピーカーとして第一回は(株)リクルート、第二回には(株)ディスコのご担当者をお招きして、お話を伺いました。
就職のことですが、留学して勉強し、技能を身につけることと、外国で就職することは別問題です。下記にもありますが、外国で就職するには労働が許可されたビザが必要となりますが、ビザについての一切の権限はアメリカ大使館・総領事館の管轄になりますので、当委員会では責任を持ったお答えがで きないことをご了承下さい。加えて、就職に関しても当方ではお役に立てませんことをご理解下さい。
A アメリカでの就職
アメリカでの就職は極めて困難といわれます。外国人が採用される為には、雇用者は一定期間求人広告を出し、その職務を遂行できるアメリカ人が見つからなかったことが証明できてはじめて外国人の雇用が認められ、その外国人に短期就労ビザ(H-1B)が発行されます。ですから、留学生がアメリカで就職する為には、アメリカ人にはない知識・技術・能力を持ち、それに見合った求職がある場合、あるいは高度な専門性を有する条件で雇用があり、その条件を満たしている場合に限り就職が可能となります。また、本人が就職を希望していても、短期就労ビザは雇用側が申請しなくてはいけないので、ビザのサポートをしてくれる企業を探すのにも容易ではありません。
就職情報やアドバイスは、大学の就職関連のオフィスで得られることもありますが、アメリカ人の求人情報に比べて、外国人の求人情報は少ないと言わざるを得ません。プラクティカル・トレーニングなどの実習中に能力が認められ、採用されるケースはありますが、短期就労ビザ(H-1B)取得という難関を切り抜けて始めて就職が可能になります。
更に、アメリカ留学を終えた他国からの留学生との競争もあります。短期就労ビザ(H-1B)の総数は毎年決まっており、競争は熾烈です。
また、短期就労ビザ(H-1B)は3年有効で、その後1度延長が可能で、最長6年です。その後は日本に1年間以上帰国していなければ再申請できません。このような点も考慮して米国での就職活動をする必要があるでしょう。
学生ビザの身分で行えるアルバイト、実習/プラクティカル・トレーニング(OPT: Optional Practical Training)、学外での雇用は、就職とは異なりますので注意が必要です。アルバイト、実習/プラクティカル・トレーニング、学外での雇用については、アメリカの大学の留学生アドバイザーに確認してください。「アメリカ留学公式ガイドブック」の6章:留学生の法的義務にも記述がありますので、参考にしてください。
B 留学後、日本に帰国して就職を希望する場合
日本で就職する場合は、どのような職種を希望するかによって就職活動の行い方が違いますが、アメリカ留学を就職に役立てたいと考えている方は、留学を考えると同時に就職の可能性についても調査し、本当にアメリカ留学が就職に有利になるのかを検討する必要があります。それには、希望する職種ごとに、日本での資格制度や、アメリカでの教育や資格が日本でも通じるか? 更に、なるべく具体的に志望する就職先を定め、雇用条件や就職の可能性を調査したり、アメリカ留学以外の方法(例えば、同様の分野での仕事や実地経験を積む、日本の大学院で学ぶなど)も検討してください。
海外大生は、とかく、就職活動のスケジュールを日本の学生の就活スケジュールに合わせなくてはいけない、と思いがちですが、必ずしも正解ではありません。業界や企業によっては、海外大学の卒業者も、日本の大学の卒業生と同等のスケジュールと基準で採用するところもあります。しかし、昨今では、多くの企業が「自社の発展につながる優秀な人材を採用する」ために通年採用を行ったり、海外大生の卒業時期に合わせた、独自の採用スケジュールを設定していますので、海外大生の就職活動にも柔軟性が出て来ています。ですから、慌てずに「自分の興味ある仕事や企業」「情熱を持って取り組めそうな仕事や業界」を見つけ出し、それらの業界や企業の海外大学を対象とした採用スケジュールを確認してください。
学業と並行して如何に就職活動を行うかなども、留学計画を立てる上で考慮しておいた方が賢明です。ただ、最近の企業は、海外留学を経験したバイタリティやコミュニケーション能力の高い人材を国内外から採用したいという意欲が高まっているため、日本やアメリカでキャリアフェアなどが年に何回か開催されています。そのような機会を利用して、ご自分なりの就職活動スケジュールを計画し、直接企業と面接予約をとるなど、自ら積極的に動くとよいでしょう。
就職活動の中でも「自己分析」「業界・企業研究」は自分の力で出来る分野ですが、「実際に働いている社員の話」を聞いたり、「いろいろな企業を見て視野を広げること」は自分だけでは出来ません。そのために、海外や日本国内で行われているキャリアフェアに積極的に参加する事をお薦めします。
卒業の1年前からはフェアに参加しましょう。その前の数ヶ月から就職の意識を持って、情報を集めたり、自分の未来について考えるようにしましょう。
企業に就職を希望している場合、キャリアフェアに参加するのがひとつの情報収集の手段ですが、キャリアフェアでは扱われないような職種を目指す方は、独自で情報収集を行ったり、その分野に詳しい専門家に相談する必要があります。たとえば、将来国連で働くことを希望している方は、予め外務省の国際機関人事センターのホームページから、国連職員に必要な資格を調べるなど、それぞれの将来の希望を見据えた行動が欠かせません。留学経験をご自分のキャリア形成に生かすために、様々な情報源を駆使して、積極的に行動してください。
一般的な就職情報源としては、就職関連の市販の本・新聞・雑誌、ウェブサイトを参考にして下さい。検索エンジンで、留学、就職、国際派などのキーワードで関連情報・関連企業が検索可能です。
C 情報収集
アメリカでの職業
短期就労ビザ
留学経験者向け就職イベント
カルチャーショックとロールショック
カルチャーショックとは、生まれ育った環境とかけ離れた新しい環境・文化に適応しようとする際に起こる心理的ショックです。今まで日常の生活の中で自然 に培ってきた物事への対処のしかたが、通用しないのです。天候、食事、地理、 人々、その地域での生活のしかたなどが真新しい世界に見えるかもしれませんし、 あなたの英語が思った通りに通じないかもしれません。意に反して勉学(試験や 宿題の量など)にプレッシャーを感じ、いわゆるアメリカ式のテンポの速い生活に戸惑うかもしれません。
しかし、カルチャーショックは、誰にでも起こりうる自然な反応だということを覚えておいてください。これは、異文化に接した際に誰もが多かれ少なかれ経験するひとつの学習プロセスです。カルチャーショックが大きければ、それだけ異文化体験から得ることも多いかもしれません。実際にカルチャーショックに直面したときは、できるだけ長期的で広い視野から自分自身をながめるよう心がけてください。これが起こりうることを前もって自覚し、以下にあげた症状とその対処方法を心得ておくことで、より早くアメリカ文化や社会に適応し、普通の感覚を取り戻すのに役立つでしょう。
ロール(社会的役割)ショックとは、あなたが日本で所属するグループ、団体 (大学、会社、故郷など)がアメリカではほとんど関係ないと気づくことを意味します。たとえば、あなたが日本で名門校を卒業していたり、あるいは有名な大企業から来ているとしても、それはアメリカでは何の意味もなしません。あなたは単に一日本人学生とみなされ、学業や個人生活を通じてアメリカ人の間で新しい役割やアイデンティティーを築いていかなければならないのです。
1.カルチャーショックの症状
留学生が経験するカルチャーショックは人によって度合いや症状が違います。 カルチャーショックと見られる症状の例は、次の通りです。
- 孤独感や(欲求)不満を覚える。神経質になり、ひどく疲れる。また、時差ボケが治っても睡眠時間が多く必要になる(または不眠になる)。
- ひどいホームシックにかかる(日本、家族、友人などから離れて寂しく思うのは普通だが、ほかのことが何も考えられず、いつもメールや手紙を書いていたり、泣いていたりするのはおそらくカルチャーショックの一症状である)。
- しっくりこないことから、アメリカに対して嫌悪感や怒りに似た気持ちを覚える。些細なことで、必要以上に腹が立つことがある。
- 大学で同じ日本人仲間に頼りすぎるようになる(もちろん日本人とも付き合うことは大切で、友情はとても心強いものだが、日本人だけで固まって、ほかのアメリカ人や、日本以外の国からの留学生との交流を避けることは、貴重な留学の経験を無駄にしかねない)。
- 「教育制度の違う国でうまくやっていけるのだろうか?」、「周囲の期待通りやれるだろうか?」など、アメリカにいること自体に疑問を抱いたり、学業的に行き詰まる不安を覚えたりする。
- 英語を話すことがおっくうになったり、人と会いたくなくなったりする。
カルチャーショックを受け、異文化に適応していく過程は諸説ありますが、通常以下の4段階で説明されます。
- 蜜月期:到着後、数週間の間は見るもの聞くもの全てが新鮮に思える。授業が始まり、生活リズムになじむべく忙しくしているうち、母国を恋しく思う気持ちを感じずに過ごす。
- 葛藤・闘争期:余暇を過ごす目的で渡米したのではなく、勉学を修めるために渡米したという現実と向き合い、実生活を送るということに気づく。困難に直面する場面も経験し、苛立ったり、怒る。些細なことでさえ、気に障り、アメリカ人やアメリカの習慣に対し、敵がい心を感じる。
- 理解・適応期:時間が経過するにつれ、新しい環境にだんだんなじみ、自分自身も気づかぬうちに違和感を持たなくなっている。苛立ち、怒りなどを感じる機会が少なくなる。
- 融合・受容期:少なくともある程度は、入学した大学やまわりの環境が自分のものに感じるようになる。心を許せる友人・知人もでき、周囲から自分が受け容れられたと感じると同時に、自分自身も周囲を受け容れることができてきたと感じる。
2.いかにカルチャーショックを乗り越えるか
留学生のほとんどが多かれ少なかれカルチャーショックを体験するものですが、中にはそれをカルチャーショックと自覚しないまま悩んでいる人もいるでしょう。しかし、それはいずれ乗り越えていかなくてはなりません。以下に、役に立ちそうなことをいくつかあげてみます。
A. 今現在のことだけにとらわれないこと。
アメリカには、これまでも世界中からたくさんの留学生が夢を抱えてやってきて、悩みつまずきながらも、目的を成就してきたということを忘れないでください。
B. 自分のやりとげたい目的は何かを見直すこと。
アメリカに対してあなたが感じる拒否反応は、アメリカでの現実と自分が期待 していた予想とのギャップ(こんなはずではない、裏切られた)から生じたものです。もし、自分が戸惑ったり、がっかりしたりしていたら、自分にこう問いかけてみてください。「自分は何を期待していたのか?」、「なぜそれを期待するの か?」、「自分が期待していることは実現可能か?」。自分の期待していたことと現実との相違を明確にし、自分の望むことが実現可能か否かを客観視することができれば、現状に対する漠然とした不満もずいぶん減ることでしょう。さらに、自分がそもそも何の目的でアメリカに来たのかを思い起こして、耐えられないほどの現状なのかを見つめ直してみましょう。